ナトリウムイオン電池とは
ナトリウムイオン電池とは、正極にナトリウム酸化物、負極に炭素で構成された電極を持ちます。ナトリウムイオンを含む電解液に両電極を浸すことで電子のやりとりを行い、電流を発生させています。そしてナトリウムイオン電池は充電式電池、すなわち二次電池でもあります。
ナトリウム電池の材料は?
正極に用いられるナトリウム酸化物には実際、ナトリウムとその他の金属の酸化物であることが多いです。このとき使われるその他の金属には例えば鉄やマンガンが挙げられます。一方で負極にはハードカーボンとソフトカーボンが使われています。ハードカーボン材料は、可逆比容量が高く、電圧が低いという利点がありますが製造コストは比較的高く、炭素収率は比較的低く、工業生産を達成することは困難です。ソフトカーボン材料は、欠陥が少なく、結晶性が高く、電気伝導性が高いという特徴があります。
ナトリウムイオン電池の仕組みは?リチウムイオン電池と同じ?
ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池と同様の機構を持っていて電解液に満たされた容器内に両電極がセパレータに分けられて入っているという構造をしています。電解液中のナトリウムイオンがセパレータを通り電極を移動することで、電流を発生させ電気エネルギーのやりとりをすることができます。ここでリチウムイオン電池との相違点は電極を移動するイオンがリチウムに代わってナトリウムイオンが行っているという点です。
ナトリウムイオン電池の長所は?
ここでナトリウムイオン電池がリチウムイオンの代わりにナトリウムイオンを用いる利点は、これらが安価であるという点です。というのも、リチウムイオン電池に主に用いられるリチウムはレアメタルです。
一方で、ナトリウムは食塩にも含まれていて、食塩は海水に大量に含まれているからナトリウムの量に対する懸念はありません。
さらに、リチウムイオン電池と動く原理が同じなので簡単に代替することができます。リチウムイオン電池と比較して機能面で優れている点として、ナトリウムイオン電池は充電速度が速いことです。研究してみると、VC/C-Gで充電すれば、11分しか80%の充電状態に達しません。
ナトリウムイオン電池のデメリットは?
ナトリウムの抽出技術
ナトリウムは海水に大量にありますが、今の技術ではナトリウムイオン電池を量産するためのナトリウムイオンをうまく取り出せないというデメリットがあります。また、ナトリウムは水と簡単に反応してしまうという不都合があります。このせいで、電池に影響を与える可能があります。
循環寿命
データによると、ナトリウムイオン電池は 2000回以上のサイクル回数がありますが、市場で人気があるリチウムイオン電池は最高4000回に達します。
エネルギー密度
さらにナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池に比べて電池エネルギー密度が低いです。CATLの第1世代ナトリウムイオンのエネルギー密度は160wh/kgですが、CATLのリン酸鉄リチウムのエネルギー密度は200wh/kgで、三元リチウム電池のエネルギー密度は240wh/kgです。スマートフォンや電動自転車バッテリーなど小型化かつ高エネルギーが求められる製品には不向きです。
ナトリウムイオン電池は業界における現状
現在、ナトリウムイオン電池産業はまだ産業の初期段階にあり、大量生産には至っていません。近年、世の中で、中国のナトリウムイオン電池に関連する特許の公開と出願の数が増加し続けています。
データによると、2021 年に中国で公開されたナトリウムイオン電池の特許の数は 576 で、2020年の611に次いで2 番目です。2021年、中国でのナトリウムイオン電池の特許出願数は626件に達し、過去最高となります。2022年4月21日まで、中国におけるナトリウムイオン電池の公開特許数は301件、特許出願数は20件です。
HUAWEIは2021年ごろに他企業に出資をしていて、問題点の一つである量産化の低さを解決するべく年間1GWhの生産ラインを2022年中に達成するのを目標としています。置き換わるには現状の10倍の生産が求められます。
ナトリウム電池を研究している会社であるHiNaの総合計算によると、ナトリウムイオン電池のコストは、リン酸鉄リチウム電池と比較して約30%~40%削減できます。現在、ナトリウムイオン電池はまだ開発段階にあり、コストは約1元/Wh(134円/Wh)で、三元系リチウムイオン電池と同等です。4月1日HUAWEIはナトリウムイオン電池を研究しているHiNaに投資しました。
ナトリウム電池はリチウム電池に取って代わる?
中国を中心にナトリウム電池の開発がよく行われています。ただ、現状ではリチウムイオン電池は高いエネルギー密度を持ち、サイクル回数と安全性もナトリウムイオン電池よりも優れているためすぐには代替されないでしょう。現在、ナトリウム電池は循環寿命とエネルギー密度の面での問題を抱えています。
CATLなどの企業もナトリウムイオン電池を開発している?
CATLは2021年7月に実用的なナトリウムイオン電池の製品を発表しています。これはナトリウムイオン電池のデメリットである低いエネルギー密度を改善した高エネルギー密度を有していて最高160Wh/kgです。
CATLに加え、GREAT POWER、Sunwodaなどナトリウムイオン電池メーカーランキング10社の企業もナトリウムイオン電池を開発しています。
まとめ
ナトリウムイオン電池は未だ抱えている問題点があり、本格的な実用化はまだ長いと思われます。しかし、充実した生産ラインの確保や性能面に注目するとナトリウムイオン電池の実用を加速できます。