電池の構造はタイプによって違いますか。リチウムイオン電池構造について具体的に見ていきましょう。
リチウムイオン電池構造は?
リチウムイオン電池構造について具体的に見ていきましょう。構造やリチウムイオン電池仕組みわかりやすいようにをお話する前に、具体的にリチウムイオン電池にはどのような物質が入っているのかを説明したいと思います。リチウムイオン電池には、コバルト酸リチウムという化学化合物と炭素素材の2極が入っており、その間に電解液が入っています。大きく分けてこの3つの物質を化学反応させる事により、リチウムイオン電池構造にある重要な物質が成り立っています。
では具体的に一つ一つの物質の役割を説明致します。リチウムバッテリーにおいてリン酸鉄リチウムは正極に使用されます。一方の炭素素材はリチウムを貯めておける特性から、負極に使用されます。電解液は電気を通す物質(電解質)で、液内でリチウムイオンのやり取りを行っています。一方電子は導線経由でやり取りをされ、我々が普段電池として取り出しているエネルギーの元となるのである。このように上記の3つの役割を上手く組み合わせる事で、リチウムイオン電池としての役割を成り立たせているのです。
リチウムイオン電池構造とイオンの流れ
ここではリチウムイオン電池構造及び仕組みについて、イオンの流れと一緒にご説明したいと思います。前述の通り、基本的なリチウム電池構造として黒鉛(負極)と、導電性があるイオン(正極)、これに加えてイオンの道となる電解質の溶液、セパレータを混合させたものです。このことから負極により一層イオンになるのが容易な物質、つまりイオン化傾向が高い物質を用いる事により電池からより強い電圧を取り出す事が出来るのです。
一方で金属のイオンになりやすいのを具体的に表したものが、下記に示した高校の授業等皆様が必ず習うであろうイオン化傾向です。《イオン化傾向》はLi>K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>(H2)>Cu>Hg>Ag>Pt>Auです。左に存在する物質ほどイオン化傾向が高く(イオンになり易い)ことを表しています。
故にこの中でイオン化傾向が高いのは必然的にリチウムとなり、強い電圧を取り出したいのであれば単純に負極にリチウムを用いれば良いのではと考えるかもしれません。リチウムイオンが充電と放電の流れを了解したい場合は、このビデオを見てみましょう。
しかしながら、リチウムは水の中へ入れただけで、勝手に酸化しイオンとなってしまう性質があります。つまりリチウムイオンが非常に不安定です。
では、上記の様に不安定なリチウムはどの様にして安定性を担保しリチウムイオン電池となっていったのでしょうか?そのメカニズムを下記に記述します。リチウムの不安定さの問題を解決する為に負極に用いたのは、グラファイトという炭素材料です。グラファイトは網目のような層状構造をしており、各層は電気をよく通し、層の間にはそれぞれの部屋のような隙間をもっているリチウム電池構造をしています。そこで、この複数の層を用いて、リチウム単体ではなくリチウムイオンと電子を分けてグラファイト内に貯めておくことが出来るようになり、リチウムの安定性が増した為リチウムイオン電池の製品化に繋がりました。
また、BMSが設置され、bmsとはバッテリーマネジメントシステムで、いつでもバッテリーの状態を監視することができ、バッテリーの過充電や過放電による温度が上昇して爆発の可能性を回避できます。
リチウムイオン電池構造とセパレータの重要性
基本的なリチウムイオン電池構造として、リチウムイオンが正極と負極のあいだをリチウムイオンが行き来します。先程も記述し様に、リチウムイオン電池の負極の材料は炭素素材により層状に重なったリチウム電池構造になっており、層と層が重なった間にリチウムイオンを貯めておくことが出来ます。リチウムイオンは電子1つ分プラスの電荷を持っています。リチウムイオンを含んだ負極の炭素由来のグラファイトからリチウムイオンが出ていくと、マイナスの極はマイナスの電荷をもつことになります。
この様なマイナスの電荷を電子として電池から放出する事で、電力として使用する事ができます(日常生活ですとリチウムイオン電池を使用する行為に当たる)。一方で、外部から電気を流し込んで(日常生活ですとリチウムイオン電池を充電する行為に当たる)取り組させると、負極の炭素材料がマイナスの電荷をもつことが出来ます。このマイナスの電荷を消滅させるために、正極の方からやってきたリチウムイオンが負極に取り込まれます。
上記の放電反応や充電反応を行う為には、正極と負極の間に電気のやり取りは出来ず、一方でイオン伝導性があるセパレータが必要になります。セパレータに用いられるのは、高分子化合物によって出来たポリオレフィンと呼ばれるている膜を使用します。表面には1マイクロメートル以下というとても小さな穴が開いており、その穴を用いてリチウムイオンのやり取りを行うのです。このことからセパレータはリチウムイオン電池が成り立つ為に、必須のものであることが言えます。
AGMとリチウムイオン電池構造の違い
そもそもAGMとはなんでしょうか?AGMとは、Absorbent Glass Mat(アブソーベントグラスメント)の略称で、特殊ガラス繊維の事を指します。このAGMをセパレータとして使用したのをAGMバッテリーと呼びます。
AGM電池は、従来の鉛蓄電池に比べて性能が向上していますが、それでも鉛蓄電池の一種であり、サイクル寿命やエネルギー密度の方面でリチウムイオン電池ほどよくありません。リチウムイオン電池では、セパレータにポリオレフィンと呼ばれる膜を使用しており、AGM電池ではAGMというガラス繊維を使用しています。
それ以外、サイクル回数も違いです。AGM電池のサイクル回数が900~2000で、リチウムイオンバッテリーは1500~4000です。同じなところは二つの電池が電解質を補充するメンテンスがありません。
リチウムイオン電池はメンテナンスが必要?
基本的には、リチウムイオン電池にメンテナンスは不要です。鉛蓄電池は電解液の補充等を行う必要性があり定期的なメンテナンスが必要であるが、リチウムイオン電池にはそのような電解液の補充、定期的な清掃等は必要ありません。
電池の寿命を表す指標として、サイクル数という考え方があります。電池の容量等により変化はしますが、単純に考えるとサイクル数が多いほど長く使えるという事になります。鉛電池では300~500回、ニッケル水素電池では500~1500回、リチウムイオン電池では4000回と他の電池に比べてもサイクル数が多く、寿命面でも引けを取りません。この様にメンテナンスも不要で寿命が長いリチウムイオン電池は産業用においても、家庭用においても非常に利便性の高い物と言うことが出来ます。
安全にリチウムイオン電池を使用するヒント
リチウムイオン電池は強力なパワーを貯めておくことが出来る物です。しかしながら、その反面使い方を誤れば発火に繋がる物です。ここではリチウムイオン電池を安全に使う為に注意すべき点を確認したいと思います。
使用上の注意
●過充電を避ける(充電しすぎないこと)
●過放電を避ける(最後まで使い切らないこと)
●高温多湿を避ける
●性能の落ちた電池を使用しないこと
●分解・改造しない
一般的に合格のリチウム電池にはBMSがありますが、それでも上記の条件を回避する必要があります。これにより、バッテリーの寿命を長くなる可能があります。
購入上の注意
● パック状態の電池でなく、製造者や販売者名などの表示がないもの
● 注意書きが無いもの
以上の状況であれば購入しないでください。
まとめ
上記に簡単なリチウムイオン電池構造を説明しました。リチウムイオン電池の開発には開発者の試行錯誤の成果が反映されており、長年の年月と苦労をかけてようやく実用化にこぎつけた物です。また前述の通りリチウムイオン電池は強力な電気を貯めておくことが可能です。正しく使用すれば大きな危険性はなく、長年大規模なメンテナンスを要しない為、非常に環境へ優しい物と言えます。現在の脱炭酸へ向けた社会の中で、必要不可欠と言えるでしょう。とりわけ車など大きなパワーを要し二酸化炭素を排出するような物に対しては、エコ生活に大変重大な役割を果たしていく物となること間違いないでしょう。